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ここはTW2シルバーレインの結社:フーテン塾による遊び場です。
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◆ アドベンチャー・チャプター 04 その手を。
 
 翁面の男を追い、夜の町を駆け抜ける一行。
 やがて周囲に一軒の民家もなくなり、背の高い木々のみが聳え立つようになった所で、彼らは悟った。
 この先は、先ほどの老婆が語った『幽霊屋敷』――敵の本拠地に、他ならないのだと。
 
GMさて、時刻はさっきのシーンの直後。草木も眠る丑三つ時だ。
駿介:……結局ここか。
GMキミ達は翁面の男を追って喰らい森の中を走っているんだが……、唐突に視界が開けた。あれだけ生い茂っていた木々が唐突に途絶え、代わりに目の前に現れたのは、古風な日本家屋。まるで平安時代の貴族の屋敷をそのまま移してきたような感じだ。
チェスター:ここか……。
GM翁面の男は躊躇なく屋敷の中に入っていく。
駿介:……いかにも、だな。
エリザ:狐に……、化かされてる……?
チェスター:入るっきゃねえか……。
駿介:……行こうか、こうなりゃ袋だ。
GMではキミ達は、翁面の男を追って屋敷の内部へと侵入した。
エリザ:うん……。
 
そこは室内だというのに、広々とした空間だった。
中は薄暗い。ほのかに射し込む月明かりも、ここに充満する闇、その全てを拭い去ることは出来ない。
だがそんな薄闇の中にあってなお、『彼』は決して見違えようもない威圧感を放っていた。
 
ウグイス色の狩衣に、烏帽子という和装姿。
だらりと剣先を下げた宝剣は、血の赤を吸いたくて堪らないと妖しい光を湛えている。
 
チェスター:おい! 聞こえてるか! 正気を取り戻せ!!
GM「…………」冷たい視線が帰ってくるだけだ。
駿介:それで済むならとっくに済んでる……やるしかねぇだろ。
GM男はキミ達に視線を……殺意に淀んだ視線を投げる。さぁ、戦闘開始だ!
エリザ:……戦うしかないのか……。
駿介:……クッ。
GM……助けたい?
エリザ:助けたい……。
チェスター:助けるさ。
駿介:……ああ、見捨てるのは俺じゃねぇ。
GMそうか、では。このルールがは明かされる条件は――PC達が「助けたい」と思うこと。
一同:ん?
GM今回の戦闘では、少々特殊なルールが適用される。
 
1、翁面の男を説得する場合、目標値「15+リードカード2枚」の判定に成功しなければならない。
 
チェスター:高いな!!
 
2、アクトワードを使用し翁面の男に話しかけるたび、目標値が-1される。(ただしアシストを除く)
3、最終的に「待機」を宣言し説得判定を行い、これに成功した後に、翁面の男を倒せばフラグ成立。
 
GMもちろん、これを成立させず、単純に翁面の男を倒してもストーリーは進展するよ。
チェスター:それまで、敵の猛攻に耐えないと、ってわけか。
GM全ては君たち次第だ。
駿介:……打たれるのは慣れている。
エリザ:……回復は……任せろ……。
チェスター:ちなみに、説得判定につかう能力値は決まってる?
GMいや、何でもいいよ。
駿介:……チェス太先輩、ポジション一つくれ。
チェスター:んじゃ、E任せる。
 
 そうして、翁面の男とのラストバトルが始まった。
 
◆敵情報
翁面の男 ● 達成値(8/4/5)
 
     PC
 
GM敵は翁面の男一体だけだ。まずはこちらの先制! 手加減なしで行くぞ!
駿介:おう……相手が《気魄》なら堪え切る自信がある。
チェスター:こいや!
GM翁面の男は両手で剣を捧げ持ち、祈るように握り締める。―――途端。湧き上がる暗黒色のオーラが、男の全身を包み込んだ! 『黒燐奏甲』! 翁面の男の全攻撃力がアップだ!
チェスター:こんにゃろう!
エリザ:むぅ。
チェスター:では説得だ!
GMん? いきなり?
チェスター:あ、いや。目標値下げるためのアクトワードってことだ。
GMああ、了解、分かった。……びびった。いきなり説得されたら虚しすぎる(笑)。
チェスター:んじゃ、旋剣使いながらいくぜ! 『悲観』することはねえ! すぐに助けてやる! 気攻アップだ!
駿介:うい、では糸3点使って旋剣の構え。……あんたの攻撃は俺が全て受け切る『予定』だ……安心して暴れろ。
エリザ:……『意地』でも助けて……つれて帰る……。ガトリングガンで攻撃だな。
GMこちらの目標値は8!
エリザ:《気魄》5では、当たらないな。
チェスター:まあ、今はまだいい。
GMん、サポしないのか。男は首をひねるだけで、銃弾を軽くいなす。
エリザ:……くっ。
チェスター:サポするにもカードがねえ!
駿介:……当てなくてもいい。
 
 これで1ターンが終了し、説得目標値は12+リードカード2枚にまで減少する。
 このまま目標値が低くなるまでしのげばいい―――そんな彼らの思惑を嘲笑うかのように、男の仮借なき攻撃が炸裂する!
 
GM男は裂帛の気合と共に、掌を床に打ち付けた。着物の袖から次々と沸き出でる、膨大な量の蟲、蟲、蟲……毒虫の群れ! それらが津波となって、キミ達に殺到する……! 『暴走黒燐弾・奥義』!
チェスター:来たな! ゴキの群れ!
エリザ:……ゴキじゃない……。
GMG、H、つまり駿介を除く全員に攻撃ぃぃぃ! 達成値は……うほ(笑)。
エリザ:むむ。
チェスター:ぬはあ!?
GM8+2+4! 《気魄》の14だッ!!
チェスター:出せるかあーーー!?
 
初っ端からの猛攻も、だがプレイヤー達の息のあったコンビネーションにより、チェスターは回避。エリザヴェータはガードのエフェクトを使用し、ダメージの軽減に成功する。
 
GMちぃぃぃ、これでも当たらないのか……!?
チェスター:必死だっつーの!
エリザ:自分は……ガードして64ダメージ。
GMよし、ではチェスターの番だ!
チェスター:じゃあ、ちびちび削っておくか。《術式》で斬りかかりながらアクトワード! 『まだまだいける』んだろ!? 自分の意志をまだ握ってるなら、決して手を緩めるな!
達成値は10!
GMく……ガードも絶対届かん! 命中!
チェスター:ダメージ48!
GM「……!」脇腹を斬られ、苦悶の声を上げる男。
チェスター:あ、ところでさ。そいつ、これまでの戦闘とかで受けてるダメージ、そのまま残ってるの?
GM否。またHPはフルだ。
エリザ:10分で回復……?
チェスター:ああ、能力者だし……。
GMだが安心してくれ、君たちの頑張りを無駄にはしない。だから、今は全力でかかってきたほうが身のためだぞ?
駿介:……ならば龍尾脚……糸3点使って。そう、実は俺には全て『お見通し』だった…あんたの心の叫びがな(一同爆笑)。
GM:嘘つけ!?(一同爆笑)
チェスター:思いっきり女に目がくらんでる子が、何か言ってるよ(一同爆笑)。
GMは、いかん思わずツッコンでしまった……!
駿介:……達成は7……嘘も織り込み済み。
GMならガード……失敗! ダメージ来い!
駿介:……じゃあ全力で(ジャストアタックカード差し出し)。ダメージは67。
GMぐほふっ!?
チェスター:ステキー!
エリザ:おー。
GMくぅぅぅ! 構えた刀の防御ごと、蹴り飛ばされる男! 続いてどうぞ!
エリザ:ギンギンで回復する……あれ……。カシャーン(『ドジ』)。(一同爆笑)
GMだから割るなよ!?(爆笑)
チェスター:落としてる!
駿介:そしてつま先からドリンクが……(笑)。
GMつ、次! 翁面の男……! ダンッ、と地を蹴る音がキミの耳に届いたときには、既に男は懐深くに這入り込み、その剣を振り抜かんとしている―――! 『紅蓮撃・奥義』、ジャストアタック……! 下手すると一撃で落ちるぞ。
チェスター:ターゲットは誰だ!
GMH……駿介に《気魄》11! 229ダメージ……ッ!!
駿介:……難しいな、自前で9までだ。
チェスター:あと2か……。
駿介:うおおぉっ、あんたの攻撃、俺がいなしきるっ(『熱血』)。
エリザ:避けろ……避けないと……ギンギンパワー投げる……(『脅迫』)。
GM回復しちゃうじゃん!?
エリザ:蓋開けずに、ぶつける……。
GM痛いね(笑)。
駿介:パリんだね。
GMチ、よけられたか……。男は影のような身のこなしで、即座に元の位置に戻る。
チェスター:あの攻撃を捌ききるとは、やるじゃねえかスケポン!
駿介:ここで落ちたら、誰があいつを救うんだ。
GMか、カッコイイ……!
チェスター:そろそろ……説得、いけるな。みんな! 《術式》による説得ってどんなだと思う!?
駿介:……俺は《気魄》の熱血専門だ。
GM相手の行動の矛盾点を論破…ってGMが言っていいのか(笑)。
チェスター:なんか、言いくるめってイメージあるんだよなー。スケポン、《気魄》による説得で達成値どこまで出せる?
駿介:……加減するなって言ったら10。
チェスター:7以上出せればいい。
駿介:……じゃあ8。
チェスター:よし、説得は今回のPC1であるスケポンに任せた!!
GM主人公ね(笑)。
チェスター:オレは《術式》で斬るぜ! 『オレには確かに見えた!』お前の、能力者としての矜持が!! 達成値8!
GMガード不可! ダメージ来い……!
チェスター:48ダメージ! 気攻アップしてるのに、さっきから《術式》でばかり攻撃してるぜ!
GMギリギリギリ! 激しい鍔迫り合いに持ち込むも、翁面の男はすぐさまいなしてしまう。まだまだ余裕だ。
チェスター:余裕もそこまで!
GM次は……駿介か。
チェスター:こっちのエフェクトで、スケポンの達成値を+5までできる! 説得は可能だ! 相手は5+カード2枚。最大+7だから、12以上なら確実。
駿介:……では説得か。男と距離を詰め、拳を振り上げる。
GM「………」チャキ、と宝剣を構え、ひたひたと距離を狭める男。
エリザ:ふむ……。
駿介:そのまま殴りかかる。
GMぶ(笑)。では、男は無論、見え透いた駿介の攻撃などかわそうと、身をひねるが……、
駿介:……フッ、いい動きじゃねぇか。……俺にはどうしてあんたがそうなったのかは分からねぇ……だがな、何かに囚われてるなら、能力者の熱き魂で跳ね返してみろっ!! ……今の動きが出来るあんたなら可能なはずだ。
GM「………!」ひねりかけた体が一瞬、硬直し……、
チェスター:OK! そこにエフェクト重ねるぜ! それだ! それこそがオレたちの、お前へのメッセージ!(『天啓』)エフェクト、運命の救い! 糸5点使用で達成値に+5だ!
GM合計13……! ぐ、一応こっちも達成値出すぞ!(リードカード引いて)……ぶ。両方1か!?
駿介:みたいね。
GM心に届いたらしい(笑)。
エリザ:良かった……。
GM「……、……ッ!!」迫る拳を、なにか不思議なものを見たように見つめ……、為すすべもなく、翁面の男は殴りつけられた。
駿介:……心の一打だ。
GMごろん、がら……、数回床を転がり、苦しげに立ち上がる。
エリザ:やった……?
駿介:……。
GMがくがくと苦しげに痙攣してはいるが……、いまだ、戦意を失った様子はない。説得は成功! 後は倒すだけだ!
チェスター:よし! ここから全力全開だ!
駿介:……来るか、なら俺たちも全力で応えるっ!!
 
 続くエリザヴェータはギンギンパワーをチェスターに使用。
気・術・神攻をアップさせ、特にチェスターの《気魄》攻撃力は84にまで達した。
回復・強化役としての本領発揮である。
 
GMでは、翁面の男! 相手はA、チェスター!
チェスター:カマン!
GM地を這う蛇のような超低位置から……一転! 喉元に喰らいつく刃の軌道……! 紅蓮撃・奥義! 達成値は気魄の10+3!
チェスター:またかーー!
GMこっちも本気じゃあああ!
 
 二人のサポートに加えて、チェスター自身も詠唱変化のエフェクトを発動させる。
だが……、
 
チェスター:……あれ。……サポもらっても、1点たりねえ……。
GMぶ!
駿介:……これが来たらまずい、4出そう。
チェスター:いや、待ていい。ガードでなんとか耐える。クリティカルは攻撃で使え。
駿介:ああ。
チェスター:というわけで回避は失敗! ダメージ来い! こっちはガード!
GMん、ではダメージは179! 「…………!」まさしく毒蛇の牙のごとく、チェスターの喉元に喰らいつく一撃……!
チェスター:『ここは抑える! スケポン、いまだ!!』95ダメージ!
GMフハハ、ようやく喰らうようになってきたな!
駿介:……無駄にはしねぇ、糸3点で龍顎拳。……『そんなもんか』? もっと見せてくれ、あんたの真の力をよ。
エリザ:駿介……『いまだ……いけ……』。
駿介:これで7。1もらって8だ。
GMならばガードだ! (カード引き)……成功!
チェスター:くそっ。
駿介:だろうな……だが、叩きこむ。(クリティカルアタックのカードを出す)
GMぐ……だがかなり軽減できるはず!
駿介:……ダメージ208。
GMぶハッ!?
チェスター:さすがに効くな。
エリザ:すごい……。
GMザリザリザリザリザリ……ッ! 駿介の闘気を纏った蹴りと、翁面の男の封剣が激しく火花を散らし合う……!
駿介:どらあっ! ……拳を振り抜く。
エリザ:いけ……!
GM208を84点止め! 124ダメージ……!「……、………!!」肩で息をしながらも、まだ! 倒れる気配はない!
チェスター:少しは体を張った甲斐もあったってもんだぜ。
エリザ:糸3本使用、チェスターを回復。ギンギンパワーだ……。あ……、蓋はずすの忘れた……(『ドジ』)。(一同爆笑)
GMまた味方にダメージ与えてるぅー!?
チェスター:また額で割れた。サンキュ! これでまだまだ戦える!
 
 次ターン、翁面の男は再び『暴走黒燐弾・奥義』を発動!
 しかし、サポートとガードを使いこなすプレイヤー達の前では、既にそれほどの脅威ではなくなっていた。
 チェスターと駿介は男に着実にダメージを与え、エリザヴェータは駿介にギンギンパワーを使用、HPの回復と能力値をアップさせる。
 そして、さらに次のターン。
 
GM己の刃に手を当て……、その刃が瞬時に赤い輝きを帯びる! 『紅蓮撃・奥義』!
チェスター:宝剣なんだから、《神秘》攻撃とかしてこい!(《神秘》カードばっかり貯まってるから)
GM……を、しようとした、が。
チェスター:お?
GM刃の輝きが消えていく。「……。……、…」攻撃を繰り出そうとした姿勢で、苦しげに肩で息をする翁面の男。
駿介:……(悲痛な表情)。
GM具体的にはアビリティの弾数が尽きたのだ(一同爆笑)。
駿介:……ってアビ切れかよ!?(一同爆笑)
チェスター:CP馬鹿食いするアビばっか持ってるからだ!!
エリザ:封魔ではないのか……。
GMいや、ボスの特殊攻撃なんで封術効果はない。魔炎もないしね。
エリザ:なるほど……。
GMそれでも、疲弊した身体に鞭を打ち、刃を逆袈裟に走らせる! お望みどおり《神秘》攻撃だ!
チェスター:きやがった!
GMJC、なし! 達成値6……!
チェスター:感じるぜ……お前の『悲しみ』を……。……あと1足りない。
GM感じ切れなかったようだ(笑)。
駿介:……出そう。
チェスター:わーい。感じた! スケポンのおかげで感じとれた!(笑)
エリザ:良かった……。
駿介:ははっ、チェス太先輩がなんか感じた気になってる、『面白い』。(一同爆笑)
GM:馬鹿にされてるぅー!?(一同爆笑)
チェスター:このやろう!? 目にもの見せてくれる! 糸3点! 
GMでは、戦場の中でなお、笑みを浮かべるキミ達に、「……」翁面の男は、気圧されたように後ずさる。
チェスター:スケポンにばかりいい格好はさせらんねえな。そろそろオレも、センパイらしいとこ見せるか……(『対抗心』)。
GM《気魄》のカード……くるか!?
チェスター:あ、紅蓮撃ね(一同爆笑)。達成値10
GM:ですよね!(一同爆笑) 来ると思ったんだ絶対! ガード! が、……ちぃ、同じ達成値ならPC優先! 失敗!
チェスター:剣を肩の上方に抱え上げるかのような構え……それは、示現流の蜻蛉の構え!! その掲げられた剣に、激しい炎が纏わり付く!
GMぉぉ、演出してる!
エリザ:いまだ……いけ……(『指示』)。(ス、とジャストアタックのカードを出す)
チェスター:最 大 火 力 !!(クリティカルアタックのカードを叩きつける)
GM:どっち!?(一同爆笑)
チェスター:クリティカルだよ!!
駿介:……ん、どうする?
GMジャストアタックはしまったほうがいいかな(笑)。次の敵にとっておいてくれ!
駿介:かもな。
エリザ:そうか……。
チェスター:そして、裂帛の気合と共に振り下ろす!! ダメージ、368!!
GMさ、さんびゃ……っ!?
チェスター:チェストーーーーーーーーーーーッッ!!
 
その攻撃に、
「ア、ぁ、あ……ぁアアアァア……ッ!」
苦しみにのたうちながら、救いを求めるように、翁面の男は手を伸ばし……。
びしり、と、翁の面に亀裂が走った。
崩壊は連鎖する。次々と縦横にヒビが入っていき……ついに面は、破裂するように砕け散った。
糸の切れた人形のように、男はがくりと膝をつき、そのまま力を失ってくずおれる。
 
エリザ:……チェスター……良かった……。
駿介:……終わった、か?
チェスター:悪夢は焼き尽くした……今は眠るがいい。
 
だが――――
すぐに、彼らは気づく。
面を失い、倒れ伏した男の顔は、
 
―――ユキと瓜二つの、少女の顔。
 
一同:………って男じゃねえじゃねえか!!?(総ツッコミ)
駿介:……なんだ、これは。
GMフハハ、ここでチェック判定だッ! ポジションで最後尾の人はー……駿介か!
チェスター:ぬあ?
駿介:何チェック?
GM《神秘》のチェックをしてくれ。3枚だ。糸は使用しないようにね。
チェスター:無茶言った。
駿介:3枚? ……カードパワー3なら出る。
GMううん、3枚(にっこり)。
駿介:……だ・せ・る・かっ!!(一同爆笑)
GM:ですよね! 僕もそう思います!(一同爆笑)では、キミはすんでのところでソレに気づくことが出来なかった。
 
 ……背後に音もなく忍び寄った人影が、ナイフを構えて突進してきたのを。
 ナイフは駿介の背に―――深々と、突き刺さった。
 
GM……50ポイントのダメージ。
チェスター:戦闘が終わった、一瞬の気の緩みをつかれた!
駿介:……かはっ。
チェスター:!? スケポン!?
エリザ:し、駿介っ……!?
GM君たちが驚愕し、月光の薄明かりの中、浮かび上がったその人物こそ――誰あろう、これまでキミ達と行動を共にしてきた少女、ユキであった。
駿介:……なん、で……。
チェスター:ユキ!! ……どういうことか、説明してもらえるんだろうな。
エリザ:ユキ……?
 
ユキはにこりと、屈託のない笑みを浮かべて、
「けたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけた」
と狂ったように哄笑した。
 
駿介:っ……!?
GM一瞬ユキの体が硬直する。かと思えば、でろり、と火のついたビニールのように溶け崩れた。
エリザ:何ごと……。
チェスター:!?
GM地面に水溜り状になって広がった『ユキだったモノ』は渦を巻き、翁面の男……少女の周囲に散らばる、仮面の欠片に吸い込まれていく。
 
それはまるで、ビデオを巻き戻すかのごとき怪異であった。
割れ砕け、幾多の粒となった能面が、空中で再び寄り、集まり、みるみる元の形を取り戻していく。
やがて。呪わしき姿を再び現した翁の面は、
 
『―――ク、ふ。ふ、は、は、は、は、は、は、は……!』
 
狂った笑みを浮かべたまま、館の奥へと飛び去っていった。
 
駿介:……訳が、分からねぇ……。
チェスター:あれが、元凶か……。
エリザ:……どういうことだ……。
GM「……ぐ、ぅ……」少女が苦しげなうめきを上げる。
チェスター:おい、大丈夫か!?
GM「こ、こは……?」
チェスター:幽霊屋敷の中だ。今までのこと、覚えてるか?
GMゆっくりとまぶたを開けた少女は、焦点の合わない目でしばらくキミを見ていたが、がばりと唐突に起き上がった。「アイツは……!? あの能面の化け物はどこッ!?」
駿介:……飛び去った先を呆然と眺めている。
チェスター:落ち着け。まずはお互い情報交換といこう。俺たちは銀誓館からきた能力者だ。あんたも、そうなんだな?
エリザ:助かって……良かった……。
GM「……。ぎん、せい…。……そっか。あなた達が……、……ありがとう」
 
「……、大丈夫。記憶の大部分は『喰われてる』、みたい、だけど。自分が何者で、アイツが何であるのかは、分かる」
 激しい頭痛と戦いながら、それでも気丈な光を湛え、少女は言った。
 
「―――私はユウキ。宮桜・悠希(クオウ・ユウキ)」
 
「数日前……もしかしたら数週間前に、あの能面のゴーストを退治しにきた能力者よ」

 
     *   *   *
 
 彼らは問う。
 あの能面のゴーストは、一体何なのか。そしてこの事件に隠された真実とは何か。
 最後の情報が今、悠希の口から明かされる。
 
GM「アイツの、情報……、ね」彼女は直接それには答えず、静かに問い返してくる。「チョウチンアンコウって、知ってる? 知らないなら、ワニガメでも何でも良いのだけど」
エリザ:知っている……。
チェスター:チョウチン光らせて、獲物をおびき寄せるってやつか?
GM「そう。……あの頭についてるチョウチンは、要するに疑似餌なのよ。ふらふらと頼りなく、揺れ、光る。……さぞかし美味しく見えるのでしょうね、捕食される動物にとっては」
 
―――つまり、事の真相は。
いかにも弱々しい、守ってあげたくなるような『エサ』を撒き、
いかにもな『敵』を獲物の元に送り込む。
人の心を弄ぶ、よくできた『狩り』のシステム―――
 
GM「あとは黙ってたって、獲物は自分の口の中に入ってくるでしょう。自分が誘われているとも知らず、まんまと引っかかって、ね」
チェスター:手の込んだことしやがる。
エリザ:なるほど……。
駿介:……ではおもむろに背のナイフを抜き放ち言い放とう。……で、かかった獲物は俺ってわけか……とんだお笑い草だな。
チェスター:スケポン……。
GM駿介の独白を聞いて、少女――悠希も呟く。「……私たちのときも、女の子だった」ぽつりと漏らした呟きは、苦々しいものに満ちている。
GM「私たちは、気づくのが遅すぎた。気づいたときにはもう、仲間達は半数以上がやられていた。正面の敵に対してならばともかく、『味方』にまで気を配る余裕は、なかったから」
一同:…………。
GM「当初の目的だった和服姿のヤツを倒して、その正体に気づいた時には――残っていたのは、私だけだった。……結構必死で、戦ったんだけどね。あげく、気づいたら……今度は私が、アイツに支配される人形になっていた」
チェスター:で、今度はあんたがチョウチンに仕立て上げられたわけか……。
GM「……そうね。アイツは能力者に取り憑くことで、世界結界の影響を受けることなく、自由に外を動き回れる。このまま放っておいたら、もっとたくさんの犠牲者が出るのは目に見えてる」
駿介:……なら、やることは決まってるじゃねぇか。
GM「お願い、アイツを、倒……し」そこまで言い終えて、がくりと頭を下げる悠希。どうやら気力が切れて、気絶したらしい。肉体面より精神面の消耗が激しいのだろう。
チェスター:ゆっくりと、床に寝させよう。……さて、じゃあ行くか。
エリザ:分かった……。目……離して……大丈夫か……?
GMん、置いていくのかい?
チェスター:ぬ(笑)。
エリザ:あ、連れて行っていいのか……。
GMいいよ、どっちでも(笑)。
チェスター:戦場に連れていくのもなー。怪我人だし。一旦外に出て、安全な場所に置いておくか、連れていくか……。
駿介:……行こう。ここまで来たら進むまでだ。(おもむろに背負う)
チェスター:おおう……。
GM……さすがだ。
チェスター:……男だねえ。
GM:じゃあ背負った人はペナルティで全達成値に-5で!(笑顔)
一同:きついわ!?
GM:嘘だけど!!
駿介:……で、走馬燈のように、おっとっとでウエッてなった時を思い出し、たそがれるわけです。
チェスター:今までの思い出が……(笑)。そして、それらを振り切って男は立つ!
エリザ:立つのか。
チェスター:じゃあ、行くか。
エリザ:……うん……。
駿介:……ああ。もちろんだ。
 
目指すは屋敷の最奥。
翁の面が待つ、最後の間。
 
チェスター:落とし前、つけさせてやるぜ。お面野郎……!
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